レポート

2021.12.29

『月ノ美兎は箱の中』レポート!僕らを導く月の兎は、箱の中から異光を放つ

2021年11月16日(火)に開催された、にじさんじ所属ライバー・月ノ美兎さんによる1stワンマンライブ。本記事では、その様子をお届けする。

開始前には月ノさんの配信でよく使用されているフリーBGM『雲は流れて』が流れており、月ノさんは『雲は流れて』がセットリストの一曲目であることを述べている。曲が『月の兎はヴァーチュアルな夢を見る』に切り替わり、月から飛来した箱が会場に届くという印象的な映像と、会場に届いた箱から月ノさんが飛び出すオープニングからスタートした。

まず最初に歌唱されたのが『光る地図』。その独特の雰囲気と月ノさんの歌い方、バックで流れる映像の魅惑的な不気味さが相まって、一気に月ノ美兎ワールドに引き込まれてしまう。続いて披露された『ウラノミト』の楽曲途中では、『月の兎はヴァーチュアルの夢をみる』のキービジュアルのデザインとなっているステージ衣装を初披露。ふたりの月ノさんが一体になるような演出によって、観客たちを一気に魅了した。

いつもの「起立、気を付け(今回は礼もアリ)」にて、リスナーとの挨拶を交わしたMCパートに続き、披露されたのは『魅惑の巴里サーカス急行!』。こちらは、かつてAbemaTVのウルトラゲームスチャンネルにて放送されていた伝説の番組『にじさんじのくじじゅうじ』の2期OP曲。楽曲中には番組の映像も流れ、今に思えばあまりに前衛的であった『にじくじ』の、かつての記憶を呼び起こさせるものとなっていた。

続いて歌唱する『こんがらがった!』は、かつて2019年のクリスマスに自身の歌枠で披露した楽曲。アーティストとしてメジャーデビューした今、月ノさんの歌唱力の上昇力を感じられる1曲となった。立て続けに『ウエルカムトゥザ現世』を披露。楽曲中にはなんと、4人に分身した謎ノ美兎の姿が……。楽曲通りといえばいいのか、絵面は”地獄もガチ引く”ような様相であったが、謎ノ美兎に囲まれても、中心で紛れることのない月ノさんの存在感は健在であった。
 

 
MCパートにて謎ノ4人を帰らせると合いの手の練習も入り、次のパートへの期待値はマックスに。そこで披露されたのが『ありふれた毎日の歌』で、楽曲の背景はドット絵のアニメーションとなっており、閉鎖されているかような日常を演出。そこから外に出る意味で『部屋とジャングル』が歌唱され、部屋から世界へと飛び出し、最終的にたどり着いたのは宇宙。満を持して披露された『みとらじギャラクティカ』で、月に帰るという一連の流れを披露した。

 
 


ちなみに、『みとらじギャラクティカ』は、本物の洗濯機が登場したり、JK組のような謎の存在が合いの手を入れるなど、ライブ特別仕様となっていた。

続いて歌唱された『恋?で愛?で暴君です!』にて、アイドル的な可愛らしい月ノさんが見られたかと思うと、次の楽曲『ラブカ?』では、クールかつダークな一面も見せながら歌い上げる。さらにラップ曲『NOWを』では、リアルイベントで見ることができる「キグルミノ美兎」が登場。歌詞の通り、声援を届けられないのがもどかしい時間もあったが、そんなことが気にならないほど、ブチ上げてくれた。


ここで通常の制服衣装に戻り、最後のパートに。『浮遊感UFO』は、光やステージ、画面の演出がまさに歌詞の通りであり、まるで曲の世界へと連れさられるような感覚を覚えさせる。続けて、さらに月ノ美兎ワールドに浸らせてくれる楽曲『それゆけ!学級委員長』を披露。元気よく発声したセリフパートでは、初配信時と現在の対比を感じさせ、エモーショナルな雰囲気を作り出していた。

最後に満を持して、はじまりのオリジナル曲『MOON!!』を披露。アドリブで「箱の中のみんなまで、この歌届けたい!」と叫んでいた彼女は、バーチャルアイドルそのものであった。

しかし、ここでライブは終わらない。アンコールを求める観客たちに答えるべく箱の中から登場した月ノさん……ではなく、なんと謎ノ美兎であった。「違う、そっちじゃない!」とメジャーデビュー決定CMと同じフレーズで月ノさんが再登壇する。

そこで披露されたのは、3周年記念楽曲『Wonder Never Land』。複数のメンバーで歌われることが多い楽曲だが、バラバラのパレードの先頭で旗を振り続けてきた月ノさんだからこそ、歌詞の重みも違うように感じられる。さらに、本当の最後の曲として『アンチグラビティ・ガール』が歌唱される。月ノさんを体現したかのような歌詞と、浮遊感のあるメロディで観客を半重力の世界にいざなってくれた。


エンディングでは、再び『月の兎はヴァーチュアルな夢を見る』が流れるものの、エッセイ『月ノさんのノート』に記載されていた一文が語りとして入っている。映像にて月に帰ってゆく箱の姿が映り、ライブは幕を閉じた。

ある意味複合的な存在といえるのかもしれない月ノさんの、さまざまな面が見られるライブとなった。アーティストのアルバムは音楽でストーリーを表現するというが、イントロからエンディングまで、様々なバリエーションの楽曲で駆け抜け、またイントロにループするといった流れは、ひとつのアルバムをライブで体験しているような感覚だった。
 

 

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