レポート

2022.02.20

新しい姿になっても、次元の壁を超えても、彼女は“長瀬有花”でありつづける――。『RIOT MUSIC』所属のバーチャルアーティスト・長瀬有花によるワンマンライブ『Alook』をレポート

2月19日(土)、バーチャルミュージックプロダクション『RIOT MUSIC』所属のバーチャルアーティスト・長瀬有花さんが、オンラインワンマンライブ『Alook』を開催しました。

本ライブは長瀬さんにとって初のワンマンライブであり、初のオリジナルアルバム『a look front』をひっさげ、同時にお誕生日をお祝いするバースデーライブ。ファンの期待値は非常に髙く、ライブのコンセプトでもあり、開催前から様々な形で演出されていた“レトロ”な雰囲気も、どのようなライブを作るのか注目を集めていました。そして、ライブ当日。長瀬さんは、予想を遥かに超える素晴らしいパフォーマンス、驚きに満ちたサプライズの数々で、我々を魅了することとなります。

■ライブステージはゆるふわな異次元漂流教室

ライブが開始時刻となると、霧に包まれた学校の廊下が映し出され、ハンディカメラの視点で教室のような空間へと突入。この教室がライブのステージとなり、1曲目『fake news』でニュース番組のリポーター風の口調や歌とあわせて、長瀬さんが登場します。

曲が終わると、ファンにはおなじみ長瀬さんの「ぴ~んぽ~んぱ~んぽ~ん」という、思わず力の抜ける合図でライブの開催が宣言。すぐに2曲目の『ライカ』がはじまると、教室は無重力空間となり、ステージを囲むように設置されていたテレビや机といったオブジェクトがふわっと浮遊。青い光に包まれ、幻想的な雰囲気で曲を歌い上げていきます。

そんな、“脱力系”なオリジナル曲で長瀬有花ワールドに引き込みつつ、3曲目には雰囲気をガラッとかえるカバーソングである『オドループ』。流れるように『YONA YONA DANCE』へと「ならば、踊らにゃ損! 踊らにゃ損です!」とノリノリで熱唱。元気いっぱいの歌声に、振付もばっちり披露し、ライブを盛り上げます。

ダンサブルな曲を立て続けに歌い上げつつ、続く5曲目には自身のダンスにフューチャーした曲である『ハイド・アンド・ダンス』も披露。ステージの教室もいつの間にか提灯で灯され、お祭り、もしくは学園祭のような空間に様変わりしていました。

約15分に5曲という息つく暇もないライブは、ここで小休止。長瀬さんは、あらためて「みなさま、今日は本当に、本当に、ありがとうございます」と挨拶して、「本日は1年とちょっとぶんの感謝を、めいいっぱいお届けいたします」とリスナーのみなさんにメッセージ。また「ここは、漂流次元教室。あらゆる境目があいまいで、二次元、三次元が入り混じる空間です」とライブの世界観も説明。リスナーから得た力を具現化するという「次元融合装置(試作)」を起動して、リスナーの想いがテレビ、洗濯機、トカゲさんとなってライブステージに出現するといった演出もおりまぜながら、よりライブの世界に観客を引き込んでいきました。


■新たな長瀬有花

「この漂流次元教室では、あらゆる次元と時間がゆがみあい、連なっています。自分も二次元も、時間も、溶けあって、混ざりあいます。駆けて、駆けて、止まって、止まって……そんな風に歩き続ける自分を見ていてください。この次元での、新しい姿と一緒に歌わせていただきます」

そんなコメントで披露されたのは1stシングルの曲でもあるオリジナルソング『駆ける、止まる』。少しメタい話題となりますが、ここでお披露目された“新衣装”にあわせて、長瀬さんの“二次元の姿”も新たな姿に。よりかわいらしく動き、輝きを増した姿で、自身にとって“始まりの曲”を歌う姿は、嬉しいサプライズでした。

↑(左)がこれまでの姿。(右)がお披露目された新衣装。

そんな姿で『水星』『琥珀色の街、上海蟹の朝』と2曲のカバーソングを歌い終わるとすっかり夜も開け、それまで暗く、雑多で路地裏のような雰囲気であったライブステージは誰もが想像する“朝の教室”に。オリジナルソング『とろける哲学』の歌唱中、視線を背後の机にやると、バースデーを象徴するかのようなショートケーキもちょこんと置かれており、しれっとお祝いするあたりが長瀬さんらしさを感じさせます。

……などと、油断をしていましたが、曲が終わると長瀬さんの背後に巨大ケーキがどーんと登場。「バースデー」という言葉や、自分が誕生日であるといった話題にこそふれないものの、カバーソング『空耳ケーキ』を笑顔で熱唱することで誕生日アピールも完璧な長瀬さんなのでした。

11曲目は新曲『かたどられたばしょ』。ぴこぴこという電子の音、水の滴るような自然の音が入り混じった浮遊感のあるサウンドと、サビでは心地の良いビートが響く、長瀬さんらしい1曲です。時間が経過するごとに曲や画面にノイズなども入り混じり、それにあわせて、ステージも夕暮れへと変化していきます。

先のMCで長瀬さんは「長瀬有花は、貴方の次元に顕現することで永遠を失いました」というコメントを残しました。最初こそ、バーチャルの存在デビューした長瀬さんは、約1年以上の活動を通して、2次元だけでなく、3次元の姿も見せていく活動に舵を切りました。おそらく、この台詞はソレを意味しています。

続けて長瀬さんは口を開き。

「ひとつの世界にとどまり、時間という概念に断絶された、長瀬有花という存在を求めていた人も居たと思います。それでも、次元を超えることを選んだのは、皆様と同じ時間を生きて、同じ景色を見て、音を聞いて、匂いをかいで……。そんな、同じ次元を共有することが、二度と戻らないかけがえのない時間を作ると思ったからです」。

「永遠だと思っていても、いつか終わりが来るように。それが、誰のもとに来るのかは、神様にしかわかりませんが、自分は歩み続けたいと思います。歩き続けます。永遠に残る思い出を、限られた時間の中で作り続けていきましょう。世界が長瀬に染まるまで」。

普段、自身の活動に言及をするのは珍しい長瀬さんが、この場を借り、残した大きなメッセージ。2次元の存在としての永遠は失ってでも、みんなとの永遠に残る思い出を作りたい。披露された新曲の歌詞や演出には、その思い出をひとつひとつパズルのピースにして、ぱちぱちとはめていくような印象をうけました。

そして、曲が終わると「ザザッ」と画面がノイズで遮られた瞬間、教室のオブジェクトがオレンジの光で縁どられ、電子空間のような場所へとチェンジ。そこで歌う『異世界うぇあ』は、様々な世界観を描く歌詞とあわせて、まるで次元の狭間に誘いこまれてしまうような1曲です。

そんな歌が終わると、長瀬さんはゆっくりと前方に歩み寄り、それまで自身を映していたカメラを手にして、そのまま教室の外へと移動を開始。外に出たところで、画面は完全に暗転してしまいます。


■そして、ライブは次元を超える

何事かと見守っていると、昔懐かしいパソコンのエラーウィンドウが表示され、そこには「続きを観ますか?」という文字が。そして、画面はブルースクリーンとともに“再起動(リブート)”。

そして、これまでポリゴンの姿で歌っていた2次元の姿から、3次元の姿へ。さらには生バンドもひっさげた“次元を超えた”アーティストとして再登場する長瀬さん。アコースティックギターを肩からさげ、自身の演奏と合わせて『ずるいよね』を堂々と歌い上げます。


そのまま、14曲目はカバーソング『新宝島』。後ろ姿からイントロにあわせて振り向く“あの振付”やステップも丁寧に再現して、3次元の姿ならではの臨場感あるパフォーマンスで湧かせた長瀬さん。

「これからも、貴方と同じ時間を歩んでいきます」というメッセージを添え、最後の曲『オレンジスケール』でフィナーレに相応しい華々しさを感じるサビを天高く歌い上げる長瀬さん。なお、3次元になってからの3曲は生バンドならではのバンドアレンジで披露されており、見どころ満載。最後まで観客を楽しませ、「また、新しい次元でお会いしましょう」という一言でライブを締めくくりました。

約1時間半、全15曲のライブで、エンタメ性にとんださまざまな世界観をみせ、新しい自分の可能性を提示しながら、次元まで超えつつも、“自分らしさを見失わない”パフォーマンスを見せてくれた長瀬さん。その姿は、新時代のバーチャルアーティストとしてだけではなく、これからのバーチャルライバーにとってひとつの形を提示するかのような衝撃すら受けるものでした。自分らしい歩幅で、新たな道を歩み続ける長瀬さんを、みなさんもぜひご注目ください。
 

■セットリスト
01.『fake news』
02『ライカ』
03『オドループ』
04『YONA YONA DANCE』
05『ハイド・アンド・ダンス』
06『駆ける、止まる』
07『水星』
08『琥珀色の街、上海蟹の朝』
09『とろける哲学』
10『空耳ケーキ』
11『かたどられたばしょ』(新曲)
12『異世界うぇあ』
13『ずるいよね』
14『新宝島』
15『オレンジスケール』

長瀬有花(@yuka_n_RIOT)
https://twitter.com/yuka_n_RIOT

YouTube
http://youtube.com/c/YUKANAGASE

チケット取り扱い
https://zaiko.io/event/345311

Source:RIOT MUSIC

TOP
TOP