インタビュー

2022.02.13

「LizMSYNC」が広げる、2D×配信ライブの可能性 音ノ瀬りずインタビュー【個人VTuberのストーリー #3】

個人VTuberのストーリーを文字にして届ける連載「個人VTuberのストーリー」。2人目は、ドーナツを愛する音楽系VTuber・音ノ瀬りずさんにご登場いただきます。



2020年9月にデビューし、大好きな歌を中心に活動している彼女。中でも目玉となっているのが、ゲストとのコラボ歌枠「LizMSYNC」です。離れた所にいても遅延なくセッションできるアプリ・SYNCROOM(シンクルーム)を使用し、「歌ってみたよりも気軽にできる音楽コラボ」を実現しています。今回はそんなLizMSYNCを中心に、りずさんの好きな音楽や、愛してやまないドーナツについてなど、いろいろなお話をうかがいました。

――今回初めてのインタビューとのことで、お引き受けいただきありがとうございます。読者の方に向けて、自己紹介からお願いできますか?

音ノ瀬りずさん:やほやほー! 初めまして、音ノ瀬りずです。「バーチャル界のドーナツクイーン」を目指して、ドーナツの布教活動のほか、歌やゲーム実況などをしています! 好きなことはライブに行くことです。最近はご時世柄、現地に行くことも減っちゃったんですけど、オンラインライブやいろんな方の歌ってみたをあさっています。


――VTuberの活動を始めたきっかけは?

音ノ瀬りずさん:自分自身の好きなことや好きなものを、思いっきり語り合える場所がほしかったんです。それで、どうせならその場所を自分でつくっちゃおうと考えて、勢いで始めました。アタシの「好き」を発信して、それに共感してくれる方が集まってくれたり、逆に誰かの好きに触れて自分の世界を広げたりできたら、すごくワクワクしそうだなと考えました!

――VTuber自体は、以前からご存じだったのでしょうか?

音ノ瀬りずさん:在宅の時間が増えたことでYouTubeを見る時間が長くなり、おすすめで流れてくるVTuberさんの動画や配信を見るようになりました。その中でも特にヒメヒナさんにハマって、自分もやってみたいなと思っていました。

――りずさんの動画や配信に時々登場する、マールちゃんについても教えてください。

音ノ瀬りずさんドーナツの妖精らしいのですが、アタシも詳しいことはよく知らないんです。気づいたら一緒にいました。ちょっと口は悪いんですけど、活動を手伝ってくれる、かわいい相方のような存在です!

▲マールちゃん

2Dの体でもできる音楽体験を、動画をつくるよりも気軽に

――りずさんといえば、臨場感ある演出のオンラインライブ「LizMSYNC」を企画されています。いろんなゲストさんを呼んで、生歌セッションを届けるコラボ配信ですが、こちらはどんな発想からスタートしたんでしょうか?
 


音ノ瀬りずさん:自分でもステージに立てる体を持って、ライブやフェスのようなことをやってみたかったんですけど、個人で活動しているVTuberにとって3Dになるのはなかなかハードルが高いんです。それで、2Dの体でも同じことができないかな、と考えたのが始まりでした。

音ノ瀬りずさん:歌活動をされているVTuberさん自体は、界隈にたくさんいらっしゃいます。そういう方々と、動画を制作するよりも気軽にコラボができたら楽しいだろうな、という考えもありました。

――動画をつくるよりも、生歌コラボの方が気軽にできるんですね。

音ノ瀬りずさん:歌ってみた動画となると、歌だけじゃなくてmix、イラスト、動画と、いろんなクリエイターさんの協力が必要になってきます。でも歌枠という形でしたら、ある程度はその場のパフォーマンスで、自分たちの力だけでできちゃうんです。

――配信では本編に入る前に影ナレが入ったり、ライブ会場にあるモニターのような画像が映ったりと、体験として実際のライブに非常に近いものになっているなと感じました。

▲2022年1月30日配信の「LizMSYNC」より


音ノ瀬りずさん:アタシ自身ライブに参加するのが大好きなので、実際に会場で体験した演出をいろいろ取り入れています。開演時にブザーが鳴ったり、影ナレが始まるだけで、期待感が一気に高まるんですよね。他にも一度ステージからはけた後に、アンコールで再登場という流れもやっています。

――最初は「2Dの体でもできることを」あるいは「歌ってみた動画より気軽にできる音楽コラボを」というスタートだったかと思いますが、この先歌枠セッションならではの進化を、配信上でどんどん遂げていくんじゃないかと楽しみです。

音ノ瀬りずさん:そうですね。いろいろ試してみたくて、たとえば楽器を弾ける方を招いて生演奏で歌ってみたり、ゲストの人数を増やしてフェスのような形にできたらいいなと思っています。
 



――LizMSYNCの、実際の準備の流れを教えていただけますか?

音ノ瀬りずさん:まずは、一緒に歌いたいなと思った方に直接お声がけをします。OKをいただけたら、最初にやることがSYNCROOMを使ったテストセッション。そこで回線的に問題がないかなどの確認をします。その後、リスナーさんから募ったリクエストをもとにゲストと一緒にセットリストを決めます。

セットリストは、ゲストさんに希望の曲があればそのまま組み込むこともあるんですけど、ほぼリスナーさんによる選曲で組んでいます。そのあとはアタシがパート分けやタイムテーブルをつくって、各々練習した後、1~2回ほどリハーサルをして本番を迎える……というのが大まかな流れです。

それらと並行して、Twitterでの告知とか、配信のオープニングで流すPVの作成、アンコールタイム中のBGMで使用するSEの準備、アナウンスや影ナレの収録と編集作業などをアタシの方でやっています。LizMSYNC以外の活動もあるので、今は1ヶ月に1回開催するのがギリギリですね。

――お声がけしているのは、もともとお知り合いだった方が多いですか?

音ノ瀬りずさん:今はTwitterで相互フォローになっている方が中心です。LizMSYNCに出ていただくことが決まってから、初めて通話をした方もいました。

――どの回も、MCでの会話の掛け合いから仲の良さが伝わってきていたので、意外です。準備期間中のやりとりでだんだん仲良くなっていくこともありそうですね。

音ノ瀬りずさん:そうですね。これは人によって変わるんですけど、セットリストやパート分けを決める段階で、通話で話し合いをする場合もあるので、そこで雑談も交えながら仲良くなっているかなと思います。

基本的には「こういう流れにしませんか」というのはこちらから提示して、ゲストの要望をお聞きしながら固めています。実際にリハーサルをしてみて、「このパートやっぱりちょっと変えてみようか」とか「ここハモってみたら楽しいんじゃない?」と、ゲストさんからのアイデアもどんどん加わって、最初に決めたものからパートや演出がかなり変わっていることもよくあります。

――セットリストはリスナーさんの選曲がほとんどと仰っていましたが、どのようにリクエストを募集しているのでしょうか?

音ノ瀬りずさん:まずはゲストを告知して、「この人とアタシが一緒に歌うなら、君はどんな曲を聴きたい?」と、1週間くらいマシュマロ(※)で募集します。LizMSYNCは「ゲストと、キミとシンクするオンラインライブ」がコンセプトなので、ゲストだけでなくリスナーとのつながりも大事にしています。
※匿名で質問を送るサービス

透き通った優しい声で歌うゲストさんのときはバラードのリクエストが多かったり、力強い歌声のゲストさんのときにはハイトーンのロック曲が多かったり、ゲストさんによってリクエストの色がだいぶ変わるんです。毎回ちゃんと考えて送ってくれているということが伝わってきて、すごく嬉しいですね。

――LizMSYNCを続けていくなかで、手応えは感じていますか?

音ノ瀬りずさん:少しずつではあるんですけど、手応えは感じています。でも、まだバズったとは言えない状態なので、もっともっと伸びてくれたらいいなあとも思っています。もちろんLizMSYNCをきっかけに、ゲスト側のリスナーさんがアタシのところにも来てくださったりとか、その逆も全くないとは言わないんですが、欲を言えばもっと多くの方に見てもらいたいです!


――取材前のやりとりで、「LizMSYNCには、お互いをリスナーに紹介し合い、横のつながりを広げて集客を増やしていこうという目的もある」と仰っているのが印象的でした。

音ノ瀬りずさん:これはあくまで個人的な意見なんですけど、「横のつながりで集客を」と考えている個人VTuberさんは少なくないんじゃないかなと思ってます。VTuberの発掘企画配信とか、大人数での歌枠とか、そういうのを見かける機会が多くて。みんなでバトンをつなげて、より多くの人に個々を知ってもらおうという動きが活発な界隈だなと感じています。

やっぱりアタシたちVTuberは、見つけてもらうことが最大の課題なんです。VTuberって全体で今1万6,000人を超えているので、視聴者さんも自力でチェックしていくのは難しいはず。一つの企画にたくさんのVTuberが参加することで、魅力的なVTuber短い時間でたくさん知れる良さがありますよね。


原動力はLiSA 「嫌なことを忘れられるような配信にしたい」


――もう少し、りずさんが触れている音楽についても教えてください。好きなアーティストやよく聴くジャンルはありますか?

音ノ瀬りずさん:アニメミュージックが大好きで、特にLiSAさんがアタシの原動力になっています。LiSAさんのライブに行くと、「ストレスとかモヤモヤを全部ここに置いてっていいよ」と言ってもらっているような気持ちになれるんですよね。アタシ自身も、「嫌なことを忘れられるような配信にしたい」と思っている部分はあって。影響を受けてる部分は少なからずあるかなと思います。

あとは「Animelo Summer Live」や「ANIMAX MUSIX」といった、アニメミュージックのフェス系イベントに行くことが多いです。

――歌枠での生歌含め、とてもパワフルな歌を歌われる印象なんですが、デビュー前から歌の経験はありましたか?
 



音ノ瀬りずさん:まったくなくて、VTuber活動が初めてなんです。歌うこと自体は大好きで、よく友達とカラオケに行ってたんですけど、不特定多数のインターネットの海に歌を流すのはこの活動が初めてですね。配信も未経験だったので、未だに雑談なんかは、コメントに助けられている部分が大きいです。

――意外でした。配信のノウハウなどはどういうところで勉強されましたか?

音ノ瀬りずさん:アタシが自己紹介動画を上げてデビューしたのが2020年の9月なんですけど、その時点で1万人を超えるVTuberさんがいらっしゃいました。教科書は、そうしたVTuberの先輩方ですね。いろんな方の動画や配信を拝見したり、ネットで「今から始めるVTuber」みたいな記事を読みました。


――まさにりずさんと同じように、これからVTuberになろうとしている方や、新人さんで歌動画を録りたいけどどうすればいいかわからない、という方もいらっしゃると思います。りずさんが普段使われている機材や環境について、具体的にうかがえますか?

音ノ瀬りずさん:機材はこんな感じですね。

・マイク:Audio-Technica/AT4040 
・インターフェース:(配信時)steinberg/UR22C (レコーディング時)TASCAM/US-366-CU 
・録音ソフト:REAPER


ちなみに歌ってみたの録音は、スタジオをレンタルして行っています!

――ありがとうございます。おすすめの歌枠アーカイブはありますか?

音ノ瀬りずさん:やっぱり一番はLizMSYNCを見てほしいんですけど、その他だと「ソードアート・オンライン」の主題歌縛りで歌枠をしたことがありまして。3時間以上歌っているので、作品を好きな方もそうじゃない方も見ていただけたらなと思います。
 



気付いたら主食レベルに! 止まらないドーナツ愛


――りずさんはドーナツが大好きとのことで、お洋服にもドーナツが描かれています。ドーナツに目覚めたのはいつ頃でしたか?

音ノ瀬りずさん:気づいたら主食レベルで食べるようになっていて、正直、きっかけがいつだったかは覚えておらず……もう子どもの頃から大好きでしたね。頑張ったときのご褒美として買ってもらっていた記憶があるので、アタシにとって「ドーナツ=幸せの食べ物」みたいな存在でした。今でも気づいたら買っていて、多分平均して週に4-5回くらい食べています。

――これまでたくさんのドーナツを食べてきたと思うんですが、特におすすめの種類やお店ってありますか?

音ノ瀬りずさん:うわぁ……どうしよう。全部っていいたい所なんですけど、オールドファッションがいちばん、あ、でもイーストもいいんだよな……。これよく聞かれるんですけど、毎回めちゃくちゃ悩むんです(笑)。

お店で言うと、利用するのはミスタードーナツさんが一番多いです。でもリスナーさんから「ドーナツショップが近くになくてなかなか買えない」という声をもらうことがあって、そういう人にはコンビニのドーナツを強く推してます! 気軽に入手できるだけじゃなくて、味も専門的に引けを取らないぐらいおいしいんです。

――ドーナツに対して「入手」という言葉を使ってる人、はじめて見ました(笑)。

音ノ瀬りずさん:(笑)。最近だといろんなコンビニで、一袋に4種類くらいのドーナツが入ったものが売られています。ぜひそういうのを試して、自分の一押しを見つけてほしいなと思います!

――個人的な感覚なんですが、ドーナツっていろいろ食べ比べたくても、あんまり量を食べられないんです。何かおすすめの選び方はありますか?

音ノ瀬りずさん:確かに、一度にたくさん食べるのは難しいと思います。でもドーナツって、なんと冷凍してもおいしく食べられるんですよ。なのでまとめて買ったら、ラップで包んでジップロックのような密閉の袋や容器に入れれば、冷凍庫で保存できます。食べるときは自然解凍した後に、10秒くらいだけレンジでチンしてあげると、ふわふわもっちりとした本来の食感が復活するのでおすすめです!


――もし「音ノ瀬りずコラボドーナツ」が出るとしたら、どんなドーナツにしたいですか?

音ノ瀬りずさん:コラボドーナツはもう夢ですね……! アタシ、衣装がピンクと黒を基調としているので、たとえばチョコとストロベリーのコーティングで衣装モチーフのドーナツとか。マールのかぶってる帽子をかたどったドーナツも可愛いと思います!

登録者数1,000人を超えるまでが一番長く感じた

――デビューから1年半ほどが経ちましたが、振り返ったときに、登録者の壁みたいなものを感じる瞬間はありましたか?

音ノ瀬りずさん:登録者の壁に関しては、常に感じているかもしれません。思わぬ発信が伸びたり、正直その逆もあったりして、増減に一喜一憂することもあります。でも負けず嫌いなおかげで、壁がたくさんあるとワクワクしちゃうんです。やっぱり伸びれば伸びるほどモチベーションにはなるので、たとえば歌枠一つやるにしても、毎回研究しながらやってる部分もあります。

強いて言うなら、1,000人を超えるまでが結構大変で、一番長く感じたかもしれません。4桁になってからの伸び方が、2桁3桁の頃に比べると、体感でわかるくらい変わりました。

――初期の一問一答動画で座右の銘を聞かれたときに、「それ(座右の銘)を見つけるのもこの活動の目的かな」と仰っていました。その後、座右の銘は見つかりましたか?
 



音ノ瀬りずさん:座右の銘と言えるかはわかりませんが、今は「キミがもっと楽しくなるコンテンツを」という気持ちを念頭に置いてます。最初は自分がワクワクしたいから始めた活動だったんですけど、もう今はりずなー(ファンの呼称)が喜んでくれることがアタシにとってのワクワクにつながってるんですよね。

今は、りずなーのみんなとドーナツの存在が原動力です。それこそ壁にぶち当たったりとか、作業が思うように進まないときでも、コメントやリプライを見るだけで「よっしゃ!」っていう気持ちになるんです。あとはドーナツ食べて寝たら、充電完了ですね。

――ありがとうございます。最後に、PRや告知があればお願いします!

音ノ瀬りずさん:今日お話ししたLizMSYNCやドーナツコンテンツを実際に楽しんでほしいので、記事を読んでくださった初めましての方には、ぜひ一度チャンネルに遊びに来てほしいです。絶対ワクワクさせます!

音ノ瀬りずYouTubeチャンネル
音ノ瀬りずTwitter

Writer:ヒガキユウカ

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